【 かもめ食堂/群ようこ 】
(2006)
※ 2006年3月映画が公開されたことで話題になりました。
カフェ長が、時々ふと読みたくなる一冊です。
がっつり読書をするというより、日向ぼっこでもするかのような、ゆるいストーリー。
ハラハラドキドキも無ければ、涙を誘うような場面もありません。
そうそう、かもめ食堂の看板メニューは「おにぎり」です。
カフェ長にとって、「かもめ食堂」は、まさにおにぎりのような存在かもww
舞台はフィンランドの首都ヘルシンキ。
かもめ食堂を営む主人公のサチエ(38才)は、芯の強い凛とした女性。
主人公サチエとガッチャマンのテーマをきっかけに偶然街の本屋で出逢い、食堂を手伝うこととなる、大柄で鈍臭く真面目なミドリ(推定43才)。
TVで見たエアギター選手権に憧れ、フィンランドにやって来たマサコ(自称50才)も食堂のスタッフとして加わり、物語はゆる〜く進んでいきます。
3人がフィンランドへやってきた理由や、それぞれの人生の影や迷いは、映画では謎のままですが、原作には細かに描かれています。
軽いタッチで描かれている為、深刻さはなく、それでも、他人に失望したり、自分に絶望したり、心に穴の開いたそれぞれの心境には強く共感できます。
※ そんなうまい話あるかよ、とか、そんな偶然ありえない、だとかのツッコミはナンセンスなお話(笑)
3人の会話の中に、ふと、グサッとくる言葉があり、それらは読むたび(観るたび)に違った具合に胸に刺さります。
普段、原作を元に映画化された作品は、詳細が省略されたり、お気に入りのシーンがバッサリ削られていたり、やはり原作の方が面白く、映画版を「ハズレ」と感じることが多いカフェ長ですが、「かもめ食堂」は違いました。
オールフィンランドロケの映画は、原作に依存しない世界があり、それぞれの“影”を抱えた登場人物たちの“今”にフォーカスしています。
それに対して原作の方は、登場人物たちの過去や経緯に触れ、映画の攻略本のような役割ももちます。
よくありがちな「原作を読んでないと意味がわからない」現象がない(元々ちょっと不思議なゆるいストーリーではあるけれど)。
そして、なんと言ってもキャスティング。
小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ、と個性派の大御所三人が絶妙で、最初からこの人達が演じることが決まっていたんじゃないか?と、思う完璧さです。
(そんなモヤモヤを抱えたまま過ぎること数年・・)
それもそのはず、「かもめ食堂」は、まず映画の原案が出来、映画が作られ、その後小説として書き下ろされたのだとか。
なるほど、考えてみれば2006年に原作書き下ろしで、同年3月に映画公開ってありえないわな。
もしもまだ観たこと読んだことない人には、是非映画から観ることをオススメする作品です。
映画の中のキャラの濃い(一見自分とは全く違う人物)三人に、原作を読むことで共感出来る部分も多いのではないでしょうか?
読了後に感じるのは、
★居場所を見失ったとき、逃げ出したいとき、人生に疲れたとき、次の一歩がその先の人生を変えるということ。
★今見ている世界だけが全てじゃないこと。
★そこから旅立つ勇気さえあれば、見える景色は変わり、世界は大きく広がるということ。
★大丈夫、なんとかなる、ということ。
主人公達が女性ということもあって、特に女性にオススメの一冊(一本)です。
映画と併せて是非。
(しつこいようですがオススメは、映画 → 原作ねww)
ちなみに、この【 かもめ食堂 】は、カフェ長がカフェをOpenする大きなきっかけとなった映画。
カフェOpen の数年後、ど〜してもかもめ食堂の世界に行ってみたくて、ヘルシンキの街を訪れました。
そんな「映画・かもめ食堂」とヘルシンキのお話は、
次記事で・・