全身性エリテマトーデス
わざわざ公表する必要もないのですが、隠していると色々不便もあるので・・
あと、病気に苦しむ誰かの気休めにでもなれたらいいかと思うので。
発症は25歳、いきなりジェットコースターのような日々を10年ほど。
そこからさらに、フリーホールに乗り換えて数年。
フラフラしながら、ようやく地に降り立つことが出来たのは40歳目前でした。
俗に言う「お年頃」期を絶叫マシーンに乗って過ごしたわけです。
我慢したこと、諦めたこともたくさんありましたが、周りの人たちに迷惑と心配をかけまくりながら、多くのことを知り、学びました。
きっとこれからもです。
この病気になっていなかったら、きっと今以上にアンポンタンだったに違いない私です。
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus: SLE) とは
本来は細菌やウィルスなどの外敵から自分を守るための「免疫」システムが、誤って自分の正常な細胞に対し攻撃してしまう病気(自己免疫疾患)です。
それにより全身のさまざまな場所や臓器(皮膚、関節、脳、心臓、肺、腎臓など)に炎症が起き、侵されてしまいます。
発病は1万人に1人といわれ、男女比は1:10で圧倒的に女性に多い病気です。
明らかな原因は不明ですが、特に子供を産むことができる年齢での発病が多いため、女性ホルモンが関与すると考えられています。
指定難病のひとつで、根本的な治療は確立されていません。
どんな症状が起こるの?
多くの罹患者にみられる特徴的な全身症状、皮膚症状、関節症状に加えて、臓器障害は多様にあらわれます。臓器障害のまったくない軽度の人もいれば、致命的な重度の臓器障害をきたす人もいます。
・全身症状
発熱、全身の倦怠感、疲労感、食欲不振など
・皮膚症状
もっとも特徴的なのが蝶形紅斑という頬に出来る赤い発疹( 蝶が羽を広げているような形が名前の由来 )
その他、円板状や、刷毛で塗ったような形など、多様な紅斑が全身に出現します。
紫外線過敏症( 紫外線を浴びた後、発熱や、皮膚に紅斑が現れます )
・関節症状
手指の浮腫み、強張り、痛み。
全身の多関節痛(左右対称性のことが多く、日によって痛む場所が違う移動性のことも)
・腎臓
罹患者の半数に起こるループス腎炎。
進行にともなって顔や足のむくみが出現するようになります。
重症例では腎機能が破綻し透析療法や腎移植が必要になることもあります。
・その他多様な全身病変
中枢神経病変
心臓病変
肺病変
消化器病変
血管炎
など、生命に関わる重要な障害をおこすこともあります。
治療方法はあるの?
残念ながら現在(2019年)はまだ根治不能な病気で、治療は寛解( 症状が消失あるいは軽減している状態 )が目標となります。
病状や重症度により治療も個人差はありますが、基本はステロイドによる薬物療法。ステロイドが一般化される以前(1950年代)は、半数以上の罹患者は発症から5年以内に死亡していた病気ですが、現在の5年生存率は95%以上。さらに、多くの罹患者が天寿を全うできるまでになっており、ステロイドの恩恵を非常に強く受けた病気でもあります。
ステロイド単独での治療が難しい場合や、ステロイドの副作用が強く減量が望ましい場合には免疫抑制薬を併用します。
そのほか、臓器症状に応じてそれぞれ対処療法がおこなわれます。
これからどうなるの?
一口に全身性エリテマトーデスといっても、障害されている場所や重症度によって、予後経過も様々です。
皮膚症状、関節症状のみの内臓器に障害のない軽症の場合には、薬物療法でコントロールしやすく、寛解状態に至れば、健康な人とほとんど変わらない生活が出来ることもあります。一方、腎臓障害、中枢神経病変、心臓病変、肺病変、血管炎などの臓器障害がある場合には長年にわたり寛解をむかえられない場合もあります。
薬物の進歩によりこの病気自体での死亡率は激減しているものの、ステロイドや免疫抑制薬を長年服用することで引き起こされるリスクも予後に大きく影響しています。
薬物により免疫力を低下させているため、健康な人なら感染しないような弱い細菌やウィルスによって病気が引き起こされることもあります(日和見感染)。
近年、新たに保険適応となった治療薬も増えており、今後もさらなる治療の進歩に期待がかかります。
時間はかかりました。幸い、現在寛解状態にあるカフェ長です。
罹患されているみなさんの寛解と穏やかな日々を願います。